伝統再発見

ケンケト祭り・竜王町

ケンケト祭り・竜王町

基本情報
名称 ケンケト祭り
URL
文化財指定等 国選択無形民俗文化財「近江のケンケト祭り・長刀振り」
開催地 杉之木神社 滋賀県蒲生郡竜王町山之上
電話番号 0748-58-3715(竜王町観光協会)
祭礼日 5月3日
開催時間など 杉之木神社への長刀踊りの奉納は15時30分ごろ
料金
※平成23年5月現在

~五穀豊穣と村内の安全を祈ったケンケト祭り~

奉納の最後に行われる仕舞振り。長刀を華麗に扱う姿に観客からは声援が上がる。

 毎年5月3日、竜王町山之上の杉之木神社と旧蒲生町宮川の八坂神社との合同の祭礼「山之上の長刀踊り」と「宮川の祭礼」が行われる。このお祭りは守山市・東近江市・甲賀市に伝わる長刀踊りなど7件あわせて「近江のケンケト祭り・長刀振り」として国の無形民俗文化財として選択されている。ケンケト祭りとは鉦や太鼓を打ち鳴らし、それに合わせて友禅模様の着物を着た男の子たちが長刀踊りを奉納するもの。「ケンケ ケンケドン」という囃子の音頭からそう呼ばれているという。踊りの行列にはイナブロ(稲風呂)と呼ばれる高さ5メートルほどの大御幣が続く。

5mほどにもなるイナブロ。数多く倒した年ほど豊作だといわれているためイナブロを倒そうとする見物衆と警護役で大騒ぎとなる。見物のさいには注意が必要。

 イナブロを数多く倒した年ほど豊作で、またイナブロに付いている5色の短冊は持ち帰ると「虫除け」のご利益があるといわれている。そのため渡りの道中、見物人がこのイナブロを倒そうとし、それを防ぐように割竹を持った警固が守ろうとする光景が繰り広げられる。
 ケンケト祭り、長刀振りという祭礼芸能は湖南、湖東地域に古くから伝承されてきたもの。山之上に伝わるケンケト祭りの由来は諸説あるが、織田信長が水口で戦ったときに、山之上の人々が従軍し多くの戦果を挙げたことで恩賞を受け取った。これを記念して長刀を手にした姿を長刀振りとして伝えたのが始まりであるともいわれている。
 祭礼日は1日かけて町内の各所で長刀振りの奉納が行われる。杉之木神社では宮川の小踊りと大踊りが奉納された後、長刀踊りが午後3時30分ごろから次のような流れで奉納される。
まずは年少者から順に振り込みが行われる。長刀の振子は11歳~20歳で、最年少を新振、最年長者を後振という。手に持った一本の長刀を左右に振り回したり、長刀を持って片足で体を一回転させたりする。これらの動作を太鼓と鉦の音頭にあわせて入口から踊りながら進む、拝殿前まで行うと鉢巻をとり一礼して終わる。
 振子たちの後ろからはイナブロが進む。漢字では『稲風呂』と表記する。御幣の一種で高さは5メートルほど。ドジョウをくわえた鷺を飾り、その頂には杉の枝を立てている。鷺の下には5色の短冊がつけられており、神をまとい状につけたものである。このイナブロを動かすことは大変難しく、4名が息をあわせて持ち上げ少し進むということを繰り返す。

杉之木神社境内には大勢の人が集まる。宮川は大踊りと小踊りを奉納する。

 ここでイナブロを倒そうとする騒ぎが起きる。見物人の中からイナブロのロープを引っ張って引き倒そうと襲いかかってくる者が出てくる。鉦と太鼓が打ちならされ、警固の青年らは倒そうとする人々を引き離そうとする。イナブロが引き倒されると、それまで見守っていた人々も短冊を取ろうと飛び込んでくる。踊っていた振子たちは舞を中断して駆けつけ、イナブロの周りに円陣を作り守る。イナブロが立てられると振子らも元の位置に戻り踊りが再開される。イナブロが拝殿前に進むまで数回見物人たちがイナブロを引き倒そうとするので警固も大変である。

御旅所へと渡る長刀振りの一行。

 イナブロが拝殿の前の杉の木に立てかけられると、年長者の振子たちによる仕舞いぶりが奉納される。長刀を両手で持ってその間をとびこえたり、空中高くに長刀を投げて受け止めたり、背に回した長刀を片手で車輪のように回すなど長刀を使った芸を奉納する。地元の人からだろうか「回っとる回っとる。目がまわるでー」のようなはやし立てる声も上がる。この仕舞振りが終わるとイナブロ、鉦、太鼓は拝殿を左回りに3周してから渡り道を通って御旅所へと向かう。
この後は御旅所での奉納があり、宮川の八坂神社への神輿の還御・夕神輿が行われる。神輿が御旅所を出ていくときは男神の荒神振りを発揮し喧嘩神輿となる。宮川と山之上の双方から6人のかつぎてが出るのだが、一方は早く出ようとし、一方はそれを引きとめようとするので神輿が暴れまわる。1時間ほどするころには双方疲れはて終わる。
 八坂神社でのすべての神事が終わり杉之木神社に戻ってくるころには午後9時を過ぎており、年によっては午後10時近くになることもあるという。最後はイナブロの毛をむしり取るイナブロ納めが行われ、めでたく祭礼行事の一切が終了となる。大役を務めた振子たちには一日練り歩いた疲れが見えたが、それぞれ達成感に満ちた表情を浮かべていた。

関連タグ一覧