伝統再発見

穴太衆積み・大津市坂本~その4

穴太衆積み・大津市坂本~その4

基本情報
名称 穴太衆積み
URL http://www.geocities.jp/awata_i/(粟田建設HP)
文化財指定等 粟田純司さんは平成12年「現代の名工」表彰
所在地 大津市坂本3丁目11-29(粟田建設)
電話番号 077-578-0170(粟田建設)
営業時間
定休日等
料金
※平成22年10月現在
最後のひと石を確認しながらゆっくりと降ろす。石を積む作業では、「間埋石」(まずめいし)と呼ばれる大きな石と大きな石の隙間を埋めるための石をはめこむが、これは3人の息が合っていないと非常に危険な作業となる。

最後のひと石を確認しながらゆっくりと降ろす。石を積む作業では、「間埋石」(まずめいし)と呼ばれる大きな石と大きな石の隙間を埋めるための石をはめこむが、これは3人の息が合っていないと非常に危険な作業となる。

【その3からの続き】
 穴太衆積みの伝統を未来へとつむいでいくという重責を背負いながら活動を続ける粟田純司さん。「現代の名工」が一番気を遣っているのは、「先代の名を汚さないように決して手抜きはしない」ことだという。「石垣は日本が誇る大切な文化なので、さまざまな困難に直面しても将来につむいでいく必要があると思います。これまで15代続いてきたものですから、この技術を絶やすわけにはいかない。もっと人々に関心をもってもらい、国や県、そして文化財に関わる人々には穴太衆積みの価値をもっと再認識していただければ・・・」と語る。石垣に対する真摯な思いが募り、2009年(平成21年)から「文化財石垣保存技術協議会」という組織を立ち上げ、文化庁からの承認を得た。
 第14代穴太衆の頭として地元坂本の里坊の石垣をはじめ、全国各地の城郭の修理に当たる一方、現代の建築のなかにも耐震性に優れた穴太衆積みの石垣を生かしてもらおうという試みにも力を入れている。その成果として、彦根市にある滋賀県立大学のキャンパス内の庭や、大津市にある「ピアザ淡海(おうみ)」の玄関には穴太衆積みの石垣が採り入れられている。ほかにも、第二名神高速道路の甲賀市信楽町の工区内で、護岸壁に穴太衆積みが採用されたときには、マスコミの報道もあって世間の注目を浴びた。“平成の穴太衆”の確かな技が新しい境地を切り開きつつあるのだ。

右から清水慎一朗さん、中西正夫さん、畔柳智さん。職人らしさ漂う引き締まった表情の3人。

右から清水慎一朗さん、中西正夫さん、畔柳智さん。職人らしさ漂う引き締まった表情の3人。

 さらに驚くことに、2010年(平成22年)の1月には、カリフォルニアの海岸で穴太衆積みの台を築いて櫓を建てるという偉業も成し遂げた。地震の多いカリフォルニアでは、石垣にコンクリや杭などを打たない「空積み」という工法は法律上厳しいといわれたが、第二名神の石垣工事の際のデータを引用し、何とか許可が下りたそうだ。近江・坂本発の穴太衆積みは、ついにその価値が世界に認められ、太平洋を渡った。日本古来の伝統が世界に羽ばたいた瞬間だ。
 精力的に穴太衆積みの価値を訴える純司さんだが、「石工を養成していくためにはもっと仕事が必要なのですが、滋賀県の城郭の修復といってもわたしたちが呼ばれることは案外少ないのです。他府県から城郭の石垣修復を要請されて赴くことは多いのですが・・・」と、お膝元の滋賀県でこそ、活動の幅を広げたいと切望している。
 いまでは日本で粟田家だけが守り伝えている正統な穴太衆積みの石垣。日本、いや世界の宝が滋賀県内で脈々と受け継がれている。
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