芸術再発見

箏を奏でるシンガーソングライター・真依子 (maiko)

 
                                         ~平成26年度滋賀県文化奨励賞受賞者に聞く~
 
maiko_top
 
ある一人のディレクターから贈られた言葉―――
自然の歌を都会の人が外から見て作った曲は多いけど、真依子さんは中(内側)からの視点で歌った曲だよね。
 
 
 お箏に一目惚れしたのが12歳、学校の登下校時にお箏教室の看板を見つけ、通い始めたのが15歳のときだった。初めて、自分から「やりたい!」と言い出した習い事。オープン・チューニングであるお箏は、弦を〽タラランと指で弾くだけでコードが奏でられるため、まるで別世界に誘われるような感覚に陥ったという。また、自分より年上ばかりの教室メンバーによる演奏会などでは、センターを任されることが多く、お姫様に憧れを抱いていた真依子さんにとって習い続けるには、なんとも魅惑的な環境だったそうだ。
 
 21歳の時、唐突にも転機は訪れた。音楽好きだった最愛の父の死。悲しみで塞ぎ込む日々は続いた。暗黒にも感じられた世界はあまりに重く、なかなか出口を見つけられないままでいたという。そんな心を徐々に溶かしたのが、幼少の頃、日本画を描いていた母のスケッチについて行っては目にし、遊んでいた身近な自然とその風景だった。もともと、創造することが好きだった真依子さん。今ある心の内を詩にしたため、それを音に乗せたい感情に駆られたとき、偶然とも必然ともそばにあったのがお箏だった。
 
 “お箏の弾き語り”という独自のスタイルを構築し、第一作目となるオリジナル曲『さくらこ』は誕生した。桜の花を一人の少女に見立て、蕾が膨らんで花ひらき、風に舞い踊る花びらや散りゆく儚さを情緒豊かに表現してみせた。1999年に国際芸術連盟ポップスオーディションに合格、2005年にはキングレコードからメジャー・デビューを果たすこととなる。「自分に向けた、自分のための歌。そこからのスタートでしたね」と振り返る。
 
 2014年に滋賀県文化奨励賞を受賞、昨年でデビュー10年を迎えた。ステージに立つだけでも精一杯だったというデビュー当初。月日を重ねた分だけ経験も積み重なり、今は自身の中の土台が築き上がってきたことでステージや生き方、考え方に安定感が見いだせていることが一番の変化だそうだ。「あっという間、という感じですね。受賞は、重みではなく励みになりました。周りが認めてくれたということが『カタチ』になったので、続けてきて良かったなぁと心から思います。受賞要件にも“これから活躍が期待される方”とあったので嬉しい限りです」と笑う。
 
 10年もの歳月は、曲作りにも大きな影響をもたらせた。自分(内)に向けていた曲は、様々な人やモノとの出会い、出来事によって、次第に他者(外)へと向けられていったという。その最たる出来事となったのが3.11(東日本大震災)だった。奇しくも、その日は真依子さんの誕生日。今まで自分が歌詞に込めていた想いが、自分の曲でありながら自分のものでないと感じたそうだ。「人の心に届けたい、という気持ちが高まりましたね。励ますというにはおこがましいけど、ちょっと心に寄り添う曲を作りたいという感情が芽生え、カタチとして『いのち このち』 という曲が生まれました」。
 
 〝アーティスト〟を10年も続けていると、歌うことだけじゃないなと感じることがあるという真依子さん。現在は、アトリエを構える京都と滋賀を行ったり来たりする日々の中、ジャケットのイラストや絵本を手掛けたり、出身地米原市の里おこしイベントを催したりと活動の幅は広がるばかり。そんな真依子さんにとっての地元・米原とは、〝帰る場所〟なんだそうだ。「私は、すべての都市の発展が良いとも限らないと考えていて、米原には人がまだ踏み入れてない自然が残っていたり、山野草がたくさん咲いたり、野生動物らが数多く生息していたりする地域なので、そのままの米原が素敵だと思っています。私の知っている〝米原〟のままであり続けて欲しいです」。
 
 最後に、これから先の自身のビジョンについて伺うと「それは…まだ秘密。ただ続けること、作曲し続けること、続けたいと思える環境の中に身を置くことを今は優先させたいし、大切にしている」と、真依子さんは語る。
 

Profile
米原市出身。箏を奏でるシンガーソングライターとして、2005年にデビュー。
滋賀の豊かな自然や風土を独特の感性でとらえ、郷土をイメージした楽曲づくりや地域伝統芸能との共演など、地元に息づく音楽活動を精力的に行っている。湖国・滋賀の良さを次代に引き継ぐアーティストとして注目を浴びており、また、米原・奥伊吹を舞台とした里おこしイベント「伊吹の天窓」に携わるほか、NHKみんなの歌では「ふきとひよこ」が放映されるなど、今後の活動の幅にも期待がかかる。2014年度滋賀県文化奨励賞受賞。
オフィシャルサイト:http://maiko-net.com/

 
CD
•「ひめほたる」(2005年4月)
•「ウタコト」(2005年11月)
•「春るるる、咲ららら。」(2006年3月)
•「月桃」(2006年8月)
•「美しき時」(2007年2月)
•「うた絵本」(2010年11月)
•「かわらないもの」(2013年12月)
 

 
<近日リリース>

Sou-Sei 想・奏・草・創・箏 – 生きる。
 
Sou-Sei 想・奏・草・創・箏 – 生枠に捉われず自由に生まれた作品は、それぞれに個性を放ち、自身の歩んできた歴史の記録ともいえるアルバムになっている。素朴な歌詞とメロディーを核に、多面性と素材感を感じられるように表現された作品は、愛らしくも陰影があり、柔らかくも普遍的な強さを秘めている。

サウンドプロデューサーに、松本淳一(日本アカデミー賞優秀音楽賞 是枝監督「そして父になる」etc.)未知瑠(スタジオジブリ短編「たからさがし」宮﨑駿監督 etc.)上野耕路(ゲルニカ、坂本龍一と共にアカデミー受賞映画「ラストエンペラー」etc.)など実力派が集結。プロデューサーに篠崎恵子(矢野顕子ディレクター etc.)マスタリングに田中三一(山口百恵、奥田民生、星野源 etc.)が全面協力。ゲストアーティストとして、つじあやの(スタジオジブリ「猫の恩返し」主題歌 etc.)が参加するなど、多くのミュージシャンの協力を経て完成。
ジャケットは、アートディレクター 浜田武士(Y’s、THREE etc.)切り絵作家 早川鉄兵(2016日産カレンダー etc.)が手がける。日本の音彩で描くアートな世界を今作で確立した。
 

■価格:定価\3,000(本体 2,778円)

■発売元:utaca

■販売元: Bridge-inc

■製品番号: UTACA-M001
 
【収録曲】
1 木の花の咲くや
2 花かんざし (京都祇園 yuba motion pictures song)
3 天窓の星
4 光の森 (伊吹の天窓 Light up song)
5 来て見てここはね (Maibara city 10th Anniversary song)
6 ネムのゆめ
7 Garland Flag
8 いつも一緒
9 星めぐりの歌
10 いのちこのち (東日本大震災復興支援 song)
 
★8/21 一般発売(全国のCDショップ、Amazon、i Tunesなど)
 
 
Media

Kiss-FM KOBE    「真依子のうたこと茶屋」
FM滋賀 e-radio   「真依子のkotoんくらぶ」
NHK大津特番    「真依子 春の湖都、花の宴」三井寺にてコンサート
NHKラジオ       シングル『月桃』がユアソングに選ばれる
朝日放送テレビ    「ビーバップハイヒール」エンディングテーマ
NHK教育テレビ    「シャキーン!」エンディングテーマ
朝日放送テレビ    「NEWS ゆう+」特集として取り上げられる
毎日放送テレビ    「ちちんぷいぷい」ゲスト出演
NHKEテレ      テレビアニメ「ナンダカベロニカ」オープニング、エンディングテーマ
NHKEテレ       みんなのうた「ふきとひよこ」等、TVやラジオに多数出演
 
other
2008 伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞受賞作品「ヤング通りの住人たち」( 監督: 石田摩耶子) の主演に抜擢される。また、同映画の主題歌「私日和」を制作。
 
[H28.5.31現在]
 

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