芸術再発見

愛荘町立歴史文化博物館

 

愛荘町立歴史文化博物館

基本情報
名称 愛荘町立歴史文化博物館
URL http://www.town.aisho.shiga.jp/rekibun/
文化財指定等
所在地 滋賀県愛知郡愛荘町松尾寺878番地
電話番号 TEL 0749-37-4500    FAX 0749-37-4520
開館時間 10:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日等 ○月曜日、火曜日(国民の祝日は除く)
※ただし、展示替えなどにより臨時休館することがあります。
※11月は毎日開館しています。
○国民の祝日の翌日(土曜日、日曜日、祝日に重なる場合は除く)
○年末年始(12月29日~1月3日)
料金 一般300(250)円、小・中学生150(100)円 ※( )内は団体料金
※平成28年10月現在

 
 
 
%e7%a7%a6%e8%8d%98%e5%b1%8f%e9%a2%a8%e3%80%8c%e9%bb%8e%e6%98%8e%e7%a7%a6%e8%8d%98%e3%80%8d%e3%80%80%e9%88%b4%e6%9c%a8%e9%9d%96%e5%b0%86%e7%94%bb
                                            秦荘屏風「黎明秦荘」 鈴木靖将画
 
 
 
博物館が佇むところ―――
 
 滋賀県の東中央部に位置し、東西約 13Km、南北約 6.9km、総面積は 37.97k ㎡を有する、愛荘町。2006(平成18)年に、秦荘町と愛知川町が合併した人口2.1万人ほどの町である。この地は、湖東平野を本拠地として勢力を誇っていた渡来系氏族である依智秦氏の古墳をはじめ、湖東三山の一つで聖武天皇の勅願によって行基が開山したことで知られる金剛輪寺、条里遺構、中山道65番目「愛知川宿」として栄えた歴史など、古くより開けた土地であることがうかがえる。

 
 愛荘町立歴史博物館は、この季節〝紅葉スポット〟としても人気の高い金剛輪寺の惣門をくぐり抜けた、参道左側に位置する。建物は周囲の景観に配慮し、日本古来の寺院建築による構成を取り入れた殿堂造りで、展示棟(いざないの館)と管理棟(いにしえの館)の二棟を朱塗り渡り廊下で結んでおり、和風建築が醸し出す優美な佇まいで整えられている。1994(平成6)年の開館当初、〝個性あるまちづくり市町村事業〟に伴う建設計画のもと「秦荘町歴史文化資料館」として幕開けしたが、合併を経たことで町の歴史や文化に奥行きと幅が増し、博物館の資料収集や調査・研究の範囲も広がりをみせ、現在は町内の歴史資料等の保存活用を図るとともに、愛荘町だけでなく湖東地域の歴史文化、金剛輪寺の仏教美術などの魅力を広く発信する施設として運用している。

 
 
さまざまな展示―――
 
 外観から生じる調和で構想された館内。その展示棟特別展示室および管理棟エントランスホールでは、金剛輪寺ゆかりの品や郷土の祭事に関するもの、遺跡から発掘された出土品の数々が常設展示されている。
 

 
 特に注目されるのが、明治初期に金剛輪寺から国外に流出した「金銅聖観音坐像(こんどうしょうかんのんざぞう)」の複製である。流出経緯は不明であるが、米国の富豪であるウイリアム・ビゲローが購入し、現在は米国ボストン美術館(ビゲロー・コレクション)に所蔵されている。銘文には、1269(文永6)年に西智が制作、願主は地元豪族である犬上利吉、縁者は依智秦氏であると彫られており、これだけの作柄と由緒をもつ金銅仏が造像当時の姿をほぼ完存していることは稀で、鎌倉時代を代表する一作として美術的にも歴史的にも価値の高いものとされている。「元来は金剛輪寺にあったものである」とボストン美術館側も理解を示したものの、ビゲローの遺言や繊細な作品であることから万が一の事を懸念され〝里帰り〟が難航したため、現状記録としての単なる複製品ではなく、鎌倉期の彫刻様式や鋳造・彫金技術などの技法復元的要素、造像から渡米に至る歴史的背景も踏まえての衆情の結実とした造形作品として完成させた像である。

 
 

 もう一つ、展示室中央で目を引くのが滋賀県指定文化財「金剛輪寺梵鐘」。銘文には、1303(乾元2)年に河内鋳物師である河内助安が作ったと刻されており、全国で確認されている3点うちの一作だ。河内鋳物師とは、平安時代末期から室町時代にかけて現在の大阪府堺市美原区を拠点に栄えた鋳造技術者集団で、東大寺の大仏再興に加わったり、鎌倉の大仏や梵鐘を手がけたりと、全国各地にその名を刻んだ銘文が数々残されている。また、彼らが作る「河内鍋」は、京の都で貴族や豪商が競って買い求められていたことが随筆『新猿楽記』にも記され、高度な鋳物の技術を有していたことがうかがえる。金剛輪寺梵鐘は、長浜市の本誓寺(弘安3年)と愛媛県西条市にある興隆寺(弘安9年)に比べ、製造時期が20年ほど後のものでることから助安の晩年とされ、細部や撞座(つきざ)において熟練した技量が顕著に示されていると高く評価されている。

 
その他にも、町指定文化財「金剛輪寺金銅瓶鎮柄香炉」や「安孫子神社鏡像」、「上蚊野八幡神社木造狛犬」など、貴重な品々が並んでいる。
 
博物館の主軸としては、特別展と企画展を年に各3回ずつ開催。特別展は、町民の文化意識の向上を目的に、町内に限らず大きな地域設定のなかで歴史的にも文化的にも価値の高い資料や美術品等を展示。一方の企画展では、地域に残された遺産や館蔵品を中心に愛荘町の歴史や文化が紹介されている。※1 また、愛荘町の各集落に残る歴史資料などを展示・紹介する「ふるさと展」(自治会が主体)は今までに16回の開催を数えており、それぞれの地域の特色をうかがう上での貴重な機会となっている。
 
 
注目の秋季特別展―――
 
           那珂川町・愛荘町姉妹都市提携35周年記念  「浮世絵★歌川ファイブ -広重★国芳★豊国★国貞★国安-」
 
           %e5%b1%95%e7%a4%ba%e4%bd%9c%e5%93%81%e7%95%aa%e5%8f%b710   %e5%b1%95%e7%a4%ba%e4%bd%9c%e5%93%81%e7%95%aa%e5%8f%b747   %e5%b1%95%e7%a4%ba%e4%bd%9c%e5%93%81%e7%95%aa%e5%8f%b725

 

 国民体育大会のアーチェリー競技が縁で始まった、愛荘町(旧秦荘町・愛知川町)と栃木県那珂川町(旧馬頭町・小川町)との交流は、今年で35周年を迎える。1981(昭和56)年に姉妹都市盟約が締結され、議会をはじめ産業や教育など様々な交流が、今もなお続けられている。愛荘町立歴史文化博物館では、姉妹都市提携20年の節目に「馬頭町広重美術館所蔵浮世絵展」を開催し、広重美術館所蔵の歌川広重の作品を中心に紹介。35周年の今回は、広重の肉筆画などの逸品とともに、国芳・豊国・国貞・国安といった初期歌川派浮世絵師5名の名品の数々(Ⅰ期:41点、Ⅱ期:38点)が紹介される。
 

 “見どころ”を同博物館学芸員の三井義勝さんに尋ねると「広重の作品は、風景などを描いた名所絵といった浮世絵版画が知られていますが、一方で一点制作の肉筆画も高く評価されています。広重美術館には約50件の肉筆画が所蔵されており、今回はその中でも選りすぐりの3件(4点)の肉筆画を展示します。特に『両都芸妓図』は、右幅に京都、左幅には江戸の芸妓を向かい合うように配し、東西の美人が妍(けん)を競う構成になっています。また、京都の芸妓の唇には上方を中心に流行した笹色紅(下唇に紅を塗り重ね、玉虫色に光らせる化粧法)が施され、都の風俗を示しています。桔梗と薄を裾模様にあしらう衣装を身につけた京都の芸妓と蘭菊と桐の模様を散らした小袖をまとう江戸の芸妓は、ともに地味であるがゆえの洗練された魅力を放っています。この機会にぜひ、広重美術館が所蔵する初期の歌川派5名の代表絵師たちの作品に触れてください」と話す。
 
 11月13日(日)13時30分から企画展示室にて、広重美術館主任学芸員の長井裕子さんによるギャラリートーク「広重と歌川派の絵師たち」(要事前申込)も開催される。
 
◆秋季特別展
http://www.town.aisho.shiga.jp/rekibun/documents/chirashiukiyoe.pdf

 
多彩な教室と講座―――
 

 山裾に広がる緑を借景として、二棟の施設前には山紫水明を基本とした日本庭園が広がる。大中小の小池は「心」の文字に配列されており、屏風岩を背景に水面に張り出す能舞台が設置されているのも同博物館の特徴。この能舞台では、5月の連休に「春の芸能鑑賞会」が毎年開催されており、博物館事業の一つである「子ども能楽教室」の成果発表や県立愛知高等学校音楽部によるコンサート、地元音楽グループの演奏などで、新緑の青葉しげれる季節に彩りを添えている。

 その他にも、博物館では年間を通して3~5回ほど、町内の歴史文化に関する講演会や現地探訪講座を開催。毎春には、町内にある小学校の課外授業の一環として依智秦氏の里古墳公園で古代火起こし体験や古墳石室内部の探索などの体験学習も実施している。多種多様なカタチで、地元の歴史・文化を発信するとともに、地域の人と人との架け橋をも担うのが「愛荘町立歴史文化博物館」の姿である。
 
 
 

春季特別展 金剛輪寺木造十二神将保存修理完成記念
平成28年度春期特別展「十二神将と四天王 -武将形の守護神たち-」
【会期】4.16(土)〜6.5(日)
【概要】平成25年度から3年にわたる保存修理を終え、甦った町指定文化財「木造十二神将像」(鎌倉時代・金剛輪寺所蔵)を修理後初公開。
第19回企画展 「玻璃坂のなかの愛知郡 -「近江愛智郡志ガラス乾板写真展」-」
【会期】6.11(土)〜7.31(日)
【概要】近江の歴史家・中川泉三が編纂し、昭和4年(1929)に発刊された『近江愛智郡志』。印刷時のカラス乾板に残る旧愛知郡の文化財や名所などを紹介。
夏季特別展 「近江の麻布x河内の木綿-伝統産業の歴史と再生-」
【会期】8.6(土)〜9.25(日)
【概要】鎌倉時代より伝わるとされる近江上布と江戸時代に隆盛を極めた河内木綿。現在の伝統産業として受け継がれる両産業の資料や技術的側面を通じて歴史的役割を紹介。
第20回企画展 【会期】10.1(土)〜10.23(日)
【概要】町指定文化財の「矢取地蔵縁起絵巻」(室町)と「愛智河架橋絵巻」(江戸)、愛荘町地域おこし協力隊作成の「現在の愛荘町」を表現した創作絵巻。それぞれの絵巻が語り継ぐ物語を紹介。
秋季特別展 那珂川町・愛荘町姉妹都市提携35周年記念 平成28年度秋季特別展
「浮世絵★歌川ファイブ -広重★国芳★豊国★国貞★国安-」
【会期】10.29(土)〜12.18(日)
【概要】姉妹都市提携35周年を記念誌、那珂川町馬頭広重美術館が所蔵する広重の肉筆画などの逸品とともに、国芳・豊国・国貞・国安といった初期歌川派浮世絵師5名の名品の数々を紹介します

※1 今年の開催一覧[2016年11月4日時点]

 
 

関連タグ一覧