歴史再発見

長寿寺・湖南市東寺

長寿寺・湖南市東寺

基本情報
名称 長寿時
URL
文化財指定等 【国宝】本堂
【国指定重要文化財】弁天堂、絹本著色十六羅漢像 16幀(とう)、
木造阿弥陀如来坐像、木造阿弥陀如来坐像、木造釈迦如来坐像
所在地 湖南市東寺5丁目1-11
電話番号 0748-77-3813
営業時間 9:00~16:00
定休日等 冬期(1月~3月)は予約拝観
その他期間は上記時間内拝観可能
拝観料 500円
※平成23年1月現在

~「東寺」と呼ばれる天台宗の古刹 湖南三山・長寿寺~

本殿正面の三間ある広い向拝は、後世に付け加えられたものだとみられている

 JR石部駅から南東の方角へ3キロメートルあまり。人里からそう遠くはないにもかかわらず、外界から隔絶されたような静けさをまとった寺が木々に囲まれた姿を見せる。阿星山の北東麓にたたずむ天台宗の古刹で、寺名は「長寿寺」。その名の通り長寿や子宝、安産のご利益を授けてくれる。常楽寺が西寺と呼ばれているのに対し、東寺の名で親しまれている。建物では、本堂が国宝に、弁天堂が重要文化財に指定。仏像や絵画では、阿弥陀如来坐像、釈迦如来坐像、丈六阿弥陀如来坐像、十六羅漢図が重要文化財に指定されている。 

外陣の外側は桟唐戸、内陣の外側は板壁という構造になっている

 普段、長寿寺は冬期(1月~3月)予約制であるが、ほかの時期は午前9時から午後4時まで常時拝観可能。11月には、国宝に指定された本堂を持ち、美しい紅葉で知られるという共通点を持つ「長寿寺」「常楽寺」「善水寺」(「湖南三山」とも呼ばれる)は、三山一斉公開を実施している。期間中は本堂の内陣内に立ち入って、間近に仏像が拝見できる貴重な機会となっている。山全体が赤や黄色に染まる11月の1カ月間は、紅葉を愛でる人々でも賑わい、特別な風情を醸しているのだ。
 長寿寺の創建は、奈良時代後期の天平年中(729~748年)、聖武天皇の勅願によって良弁が創建したと伝えられる。紫香楽宮の鬼門を守護するために、東に長寿寺、西に常楽寺の二寺院を開基した。創建当時は常楽寺と同じように三重塔が建っていたが、後述の事情によって現在は失っている。奈良時代から平安時代にかけて、湖南市の阿星山には多くの寺院が建ち並び、「阿星山五千坊」と呼ばれるほどの天台仏教圏を形成するようになり、ふたつの寺はその中心的存在として隆盛したが、現在その面影を残すのは、長寿寺と常楽寺のみになっている。本堂は一度焼失したものの、鎌倉時代には復興。源頼朝や、足利将軍家が祈願所としていたが、天正の頃に織田信長が三重塔を安土城山中にある自らの菩提寺・摠見寺へ移築したとされる。また、楼門は栗東市の連台寺へと移築した結果、現在の姿になっている。

手前側は参拝者が礼拝をおこなう外陣。格子戸と菱欄間の向こう側が仏像を安置する内陣

鎌倉初期に再建された本堂は、桁行五間、梁間五間の五間四方の屋根一重桧皮葺寄棟造。軒が低くどっしりとした形が美しい向拝(本屋から張り出して庇を設けた部分)三間は、桟唐戸(さんからど)という框(かまち)を組み立て、その間に薄い鏡板などをはめた扉が入口として用いられ、左右には連子窓(れんじまど)が配されている。内部は非常に奥行きが深い堂が形成されており、化粧屋根裏や虹梁などに、藤原時代の雰囲気を色濃く残しているのも特徴だ。 

本堂近くに建てられた、一間四方の弁天堂。天文19年(1550年)のもので、小さいながらも非常に優美な建物だ

藤支慈道住職は「ゆったりとした気持ちで訪れていただき、長い時間を過ごしてくだされば」という。11月の三山一斉公開期間中は観光客も多いため難しい面もあるが、その他の時期にでも長寿寺を訪れ、建物や仏様のみならず、同寺全体の雰囲気や、自然との調和などを味わいながら、ゆっくりと心を静め、リラックスする時間にしてほしいと希望を述べられた。過去には心ない人もいて盗難事件なども起きているため、いつでも開門するわけにはいかないが、事前に連絡すれば季節を問わずできるだけ対応してくださるとのこと。住職は「難しい面もありますが、できるだけ公開するようにしています。もっとたくさんの方に訪れていただき、癒しの時間を楽しんでいただきたいと思います」と話した。
(取材日:平成22年11月17日)

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