歴史再発見

今津ヴォーリズ資料館・高島市今津

今津ヴォーリズ資料館・高島市今津

基本情報
名称 今津ヴォーリズ資料館
URL
文化財指定等 国登録有形文化財
所在地 高島市今津町今津175
電話番号 0740-22-0981
営業時間 10:00~17:00
定休日等 毎週月曜日および12月29日~1月3日※月曜日が祝日の場合は翌日休館
料金 見学は無料
※平成23年2月現在

~3つのヴォーリズ建築が現存する「ヴォーリズ通り」~

今津ヴォーリズ資料館正面中央の2本の柱は、略式のトスカナ式柱頭が付けられている

 明治から昭和にかけて、日本に大きな足跡を残したウィリアム・メレル・ヴォーリズ。明治38年に来日。後に建築事務所を開いて、1600件以上の建築設計を手がけている。滋賀では近江八幡に多くの建築物が残っているが、高島市今津の地もヴォーリズとは縁が深い。
 JR湖西線・近江今津駅から旧若狭街道を少し北上すると「ヴォーリズ通り」という文字が目に入る。元は辻川通りであったが、「今津ヴォーリズ資料館」「日本基督教団今津教会会堂」「旧今津郵便局」という3つのヴォーリズ建築が存在することから、近年はヴォーリズ通りと呼ばれるようになった。今津ヴォーリズ資料館と今津教会会堂は、平成15年(2003年)に国の登録有形文化財となった。

市民の憩いの場として使われているほか、お茶や軽食が楽しめるカフェにもなっており、地元産の野菜や黒米を使ったカレーなどが出されている

 今津ヴォーリズ資料館が建てられたのは大正12年(1923年)。当時、彦根町に本社があった百三十三銀行(現在の滋賀銀行)今津支店として、ヴォーリズ建築事務所が設計したものだ。鉄筋コンクリート造、2階建。当時の銀行建築に多く見られた、西洋古典様式を継承した意匠でまとめられた重厚な外観を持っている。昭和53年(1978年)まで銀行として使われた後、今津町が買い取って改築をほどこし、翌年から平成13年(2001年)年までは町立図書館として利用された。平成15年4月には建設当初の姿に修復され、今津ヴォーリズ資料館として新たに活用されることになった。
 現在はヴォーリズ建築を体感できるほか、ヴォーリズの生涯や日本各地のヴォーリズ設計建築物などが紹介されたパネルや模型などの資料で、ヴォーリズについて知ることができる。また展示室の中央にはカフェが設けられ、お茶や食事が楽しめるようになっている。資料館は、演奏会や文化教室が開かれるサロンとしても機能しており、多くの人が足を運んでいる。

現在は国登録有形文化財となっている日本基督教団今津教会会堂。正面玄関の「今」の文字は中国の篆書体によるもの

 「今津ヴォーリズ資料館」の運営に携わる女性グループ、NEOの森田敏さんは、「今津ヴォーリズ資料館が憩いの場になってほしい」と話す。「この建物は、銀行、図書館、資料館と、常に地域の人々が集まる場として機能してきました。今後も人の集まる場、人と人とが繋がる場所として提供していくことがヴォーリズさんの気持ちを継いで行くことになると思います」と言う。今後も資料館を有効に活用できるイベントを開いたり、結婚式を行ったりと、より人々が交流できる施設作りを目指す。
 同じくヴォーリズ通りに昭和9年(1934年)に建設された「日本基督教団今津教会会堂」は、建築当時の姿を今に残している。現在は日本基督教団今津教会今津幼稚園の園舎として使われており、中に入ることはできない。資料によれば会堂は切妻造で正面間口は約8メートル。建物の奥行きは15mで、正面に玄関を突出させ頂部には方形屋根の鐘塔があげられている。内部は中央に礼拝堂、玄関の両側に事務室と読書室を配し、講壇の両側にも教室が置かれた構造。白壁やレンガ、内部のチューダー様式の装飾などに、日本の景観に溶け込む西洋建築というヴォーリズらしさが見える。

和洋折衷の旧今津郵便局。写真からは分からないが壁面の傷みが進んでいる

 昭和11年(1936年)に建てられた「旧今津郵便局」は木造地上2階建、切妻造の建物。スクラッチタイルでアーチ形に装飾されたエントランスがひと際目を引く。昭和53年まで郵便局として使用された後、現在は倉庫などとして使用されており、中に入ることはできない。現在も使用され、手が加えられている2つの建物と異なり、荒廃している感は否めない。建物は使用していなければ荒れ、朽ちていくものだ。歴史ある建物が廃墟と化してしまう前に修復されることを願ってやまない。
(取材日:平成22年12月3日)

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