歴史再発見

胡宮神社社務所庭園・犬上郡多賀町

胡宮神社社務所庭園・犬上郡多賀町

基本情報
名称 胡宮神社社務所庭園(このみやじんじゃしゃむしょていえん)
URL
文化財指定等 国指定名勝
所在地 犬上郡多賀町敏満寺49
電話番号 0749-48-2361(多賀観光協会)
庭園開園時間 自由
定休日等 無し
料金 無料
※平成22年11月現在

~庭園美の要素が凝縮された庭~

簡素ながら趣のある水月亭と庭池。僧侶たちがここから池に浮かびゆらめく月を眺めていたのだろう

 有名な多賀大社に程近い胡宮神社には、国の名勝にも指定されている胡宮神社社務所庭園がある。胡宮神社がある場所は、神社の神体山である青龍山の麓、かつては湖東三山にも並び称せられたほどの名刹、敏満寺という天台宗の寺院があったところだ。胡宮神社社務所庭園も、もとは敏満寺内の一院だった福寿院の庭園として作庭された。

斜面上からの眺め。池と社務所(奥)の間は苔に覆われた平地で、飛石が敷かれ、手水鉢なども置かれている

 かつて、胡宮神社が鎮座する場所には、9世紀に開かれたと伝わる天台宗の一大寺院、敏満寺があった。中世から戦国時代にかけて敏満寺は、惜しくも浅井長政や織田信長らの焼き討ちに遭い、そのすべては灰燼に帰したが、往時には40を超える僧坊があったといわれている。その後、敏満寺が再興されることはなく、江戸時代に敏満寺の一院であった福寿院が再建され、同時期に胡宮神社本殿(県指定有形文化財)が江戸幕府三代将軍徳川家光の命によって造営されている。

社務所は老朽化が激しい。ただ、修復するには相当の費用が必要だと思われる

 胡宮神社のご神体は背後にそびえる青龍山そのものであり、頂上には結界となっている胡宮神社の奥宮である磐座(いわくら)があることから、太古の昔から青龍山一帯は信仰の地であったことが想像できる。
 このような由緒ある神社のなかにある庭園、胡宮神社社務所庭園は、先に述べた福寿院の庭園として作庭されたが、明治期の神仏分離令によって福寿院がなくなり、胡宮神社社務所に隣接する庭園となった。庭園の作庭時期は定かではないが、室町時代末期から江戸時代初期にかけてとみられており、書院から眺めるように作られた観賞式林泉園(かんしょうしきりんせんえん)と呼ばれる庭園様式となっている。 山の斜面を巧みに利用して築山の雰囲気を醸し出している庭園は、斜面に絶妙な間をとって配された自然石や、さつき、つつじなどの刈り込みが庭の造形に変化を与えている。斜面下には山際から湧出する水を溜めた池があり、池のなかには2つの浮石や「水月亭」と名付けられた一間四方程度の瓦葺きの月見亭が置かれている。月見亭は四隅に柱があるだけの吹き抜けだが、けっして広くはない庭にこのような優雅な施設を配するなど、なんと粋な計らいだろうか。

胡宮神社は、かつて周囲の社領であった山から採れたマツタケなどで財政事情もよかったというが、今では松枯れなどにより、それによる収入も失ってしまった。

 庭全体を見渡すと、もと福寿院の建物だった社務所から眺めるような見取りで作庭されており、こぢんまりとした庭ながらも、清楚で味わい深い趣のある庭園だといえよう。胡宮神社社務所庭園は、昭和9年に国の名勝に指定されている。
(取材日:平成22年8月3日)

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