歴史再発見

三井寺の閼伽井石庭・大津市園城寺町

三井寺の閼伽井石庭・大津市園城寺町

基本情報
名称 三井寺の閼伽井石庭(みいでらのあかいせきてい)
URL
文化財指定等
所在地 大津市園城寺町246(三井寺内)
電話番号 077-522-2238(三井寺)
拝観時間 8時~17時
定休日等 年中無休
料金 大人500円(三井寺拝観料)
※平成23年1月現在

~「日本最古の庭園」と記される、知られざる名庭~

 大津にある名刹、天台寺門宗総本山、長等山園城寺は、「三井寺」という名で地元の人たちに親しまれてきた。天智天皇、天武天皇、持統天皇の産湯に用いられたと伝わる霊泉があることから「御井(みい)の寺」と呼ばれ、それが三井寺という名の由来となった。「閼伽井屋(あかいや)の三井の霊泉」と呼ばれるこの霊泉を取り囲むように、「日本最古の庭園」と記される「閼伽井石庭」がある。ごく小さな庭だが、いまでいう日本庭園の石組みが配されている。

「閼伽井」とは仏前に供養する水を汲む井のこと。今も水がわいている

 閼伽井石庭は、同じ三井寺境内にある有名な「光浄院庭園(国指定名勝)」や「勧学院庭園」などに比べると控えめで、まさに「知られざる名庭」という名がふさわしい庭園のひとつだ。また歴史的観点で見ると非常に貴重なものと思われるが、「日本最古の庭園」を証明する歴史的な証拠や裏づけは得られていない。閼伽井石庭はもともと苔むした、石庭らしさに満ちた風情を醸していた。だが、すぐとなりにある金堂(国宝)や閼伽井屋(重要文化財)などの建物を守るために、近年、周囲の木々の枝を切り落としたために直射日光にさらされ、苔は絶えてしまったそうだ。

閼伽井の覆屋として建てられた「閼伽井屋」

 石庭は、豊臣秀吉の正室だった北政所によって建てられた閼伽井屋の建物に隠れてあまり目立たず、案内板がなければ見過ごしてしまいそうなほどに小さい。それでも、中央に人、神仏、鶴、亀などを表したものと思われる石組みが配され、それは、中国の伝説上、東海のなかにあった仙人の住む地、「蓬莱山」とも考えられる霊山を形取った石組にも見える。古代の中国では不老不死を求める神仙思想に基づいた庭園が多く造られており、その思想は飛鳥時代に日本に伝えられ、以降の日本庭園の様式に大きな影響を与えたとされる。
「日本最古の庭園」と伝わる庭園は、滋賀県豊郷町にある阿自岐神社の庭園などほかにもいくつかあるが、真実ははっきりとしていない。しかし、「現存する石庭」ということであれば、三井寺の閼伽井石庭は国内でもかなり古いものではないかと思われる。
日本文化の象徴ともされる、日本庭園の粋。庭の規模、美しさという尺度とは違った次元で、この石庭はもっともっと広く人々に知られてもいいのではないだろうか。
(取材日:平成22年5月)

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