歴史再発見

西明寺庭園・甲良町

西明寺庭園・甲良町

基本情報
名称 西明寺庭園『蓬萊庭(ほうらいてい)』
URL http://www.saimyouji.com/
文化財指定等 【国宝】本堂、三重塔【重要文化財】二天門、石造宝塔、木造薬師如来立像、木造二天王立像、木造釈迦如来立像、木造不動明王及び二童子像、絹本著色十二天像、 三重塔初層荘厳画 4本8面、錦幡5旒【名勝】西明寺本坊庭園 、「近江水の宝」
所在地 滋賀県犬上郡甲良町大字池寺26
電話番号 0749-38-4008
拝観時間 8:00~17:00(受付は16:30分まで)
定休日等 12月31日午後
料金 大人500円、中学生300円、小学生100円
※平成24年4月現在

~仏の世界を具現化させた庭園~

湖東三山の中で北に位置する西明寺。境内には本堂と三重塔が建つ(どちらも国宝)

 湖東三山の1つに数えられる天台宗の古刹、龍応山西明寺。平安時代の初期、承和元年(834)に三修上人が仁明天皇の勅願によって開創したと伝わる寺院である。本堂は鎌倉時代の代表的な建築物で、国宝の第一号指定を受けている。本堂内には本尊の秘仏薬師如来像、釈迦如来像などが安置されており、頭に十二支の動物の顔を乗せた十二神将のユニークな姿は多くの人に親しまれている。また、本堂近くには国宝に指定されている総檜造りの三重塔がある。庭園は国の名勝庭園に指定されている西明寺本坊庭園。「蓬萊庭」とも呼ばれ江戸時代中期に作られた池泉鑑賞式庭園である。

戦火を免れ現存する本堂は鎌倉時代初期の建立。国宝第1号指定を受けている。

 西明寺の創建には次のような伝説が残っている。琵琶湖の西岸を歩いていた三修上人が、東の彼方から紫雲がたなびき光明が射したのを目にし、そこで神通力を用いて一気に琵琶湖を飛び越え、対岸に渡り、今の西明寺のある山の中の池にたどり着いた(現在の西明寺本堂裏の閼伽池)。上人がその池に祈念すると、薬師如来が、日光・月光菩薩と十二神将とともに現れ、感激した上人はその姿を傍の立木に刻んだという。この話が仁明天皇に伝わり、勅命により本堂や諸堂が建てられた。また、「西明寺」の名は薬師如来の瑠璃光が西方を明るくしたことに由来しているという。仁明天皇の勅願寺として、平安、鎌倉、室町時代を通じて祈願道場、修行道場として栄えていく。山内には17の諸堂、300の僧坊があったと伝わり、源頼朝が来寺して戦勝祈願したこともあると伝わる。
 時代は流れ戦国時代、比叡山延暦寺を焼き討ちした織田信長は近江国の多くの寺院を焼き払う命令を下す。ここ西明寺も焼き討ちを受けるが、これに対し、多くの僧侶と農民が協力して寺を守ったという。山門近くの坊舎を激しく燃やし、全山が焼失するかのように見せかけ、命を受けた丹羽五郎左衛門と川尻与兵衛らはこれを見て撤退したという。これにより、本尊、本堂、三重塔、二天門など多くの寺宝を守り通すことができ、今に伝わる。
しかしこの兵火をこうむって以降、一時荒廃の一途をたどることとなる。それから江戸時代に入り、天海大僧正、公海大僧正の尽力と、望月越中守友閑が私財をなげうって復興し現在に至っている。

山門から本堂への参道はゆるやかな坂道となっている。ここを進むと樹齢約1000年と言われる夫婦杉を右手に二天門が建つ。

 西明寺は「水」と深く関わっている。西明寺山麓には、農地を十分に潤すほどの大きな川がなく、西明寺の山林から得られる水が唯一の頼りであった。日照りになると八大竜王の旗を持って山で雨乞いを願う儀式が戦後の一時期まで行われていたという。西明寺の山号が「龍応山」であるのも、こうした水への信仰が深く関わっていることを示唆しているという。このようなことを背景に平成20年に近江水の宝に選ばれている。
 名神高速道路と交差する参道を登り、二天門をくぐると開けた境内に出る。その中央に本堂があり、南側に三重塔が建つ。

 国宝の第一号指定を受けている本堂は瑠璃殿とも呼ばれている。鎌倉時代の初期、飛騨の匠が建立した純和様建築で釘を一切使用していない。屋根は檜皮葺きで、かえるまた、格子模様など鎌倉の様式がみられる。本堂と同じく釘を使用していない純和様建築の三重塔。建築年代は明らかではないが、鎌倉時代後期のものと推定されている。初層内部の壁画は巨勢派の画家がかいたもので堂内一面に法華経の図解、大日如来の脇侍仏三十二菩薩、宝相華が、極彩色に描かれている。

国の名勝庭園に指定されている「蓬萊庭」。

 二天門を少し下ったところに西明寺本坊庭園『蓬萊庭』がある。江戸時代の延宝元年(1673)、寺院の復興にあたっていた望月友閑が復興の記念にと造った庭園で、小堀遠州の作庭を参考にした造りといわれ国の名勝庭園の指定を受けている。
 池の中央には折り鶴の鶴島と亀島を配す池泉鑑賞式の庭園。鎌倉時代の灯籠で「弥陀六の灯籠」と呼ばれる八角石灯籠や連珠模様の室町時代を偲ぶ石灯籠がある。
 庫裡南側の山の斜面を利用して築山とし、築山の立石群は本堂に安置している本尊薬師如来とその眷属を表している。また、植木の刈り込みは雲を表し全体で薬師如来の浄瑠璃浄土を表し、仏の世界が具現化されている。

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