伝統再発見

日野まつり・蒲生郡日野町

日野まつり・蒲生郡日野町

基本情報
名称 日野まつり
URL http://www.ex.biwa.ne.jp/~j-watamuki/(馬見岡綿向神社HP)
文化財指定等 県指定無形民俗文化財
開催地 馬見岡綿向神社(蒲生郡日野町村井705番地)周辺
電話番号 0748-52-6577(日野観光協会)
開催日 毎年5月2日(宵山)、3日(本祭)、4日(後宴祭)
開催時間
料金 無料
※平成22年11月現在

県内最多、16基の曳山が町に繰り出す

町なかをゆく曳山。提灯の灯りとともに色鮮やかな照明が美しい。

町なかをゆく曳山。提灯の灯りとともに色鮮やかな照明が美しい。

 いまでも美しい家並みが残る日野商人の町、日野。蒲生郡日野町村井にある馬見岡綿向神社の春の例大祭、「日野まつり」は、毎年、5月2日に宵宮が、3日には本祭がこの歴史情緒ある日野の町を舞台に繰り広げられる。この祭りの一番の見ものと言えば、やはり豪華な見送り幕や精巧な彫刻が入った曳山の巡行だ。日野の曳山は全部で16基もあり、滋賀県内では水口の曳山と並んで最多を誇る。
 800年以上もの歴史と伝統がある日野まつりは、湖東地域では広く知られた有名な祭り。16基ある曳山のなかでも最も古いものは、宝暦年間(1751~1763年)以前に造られたものとされ、悠に200年を越えて今に伝わるものだ。日野は日野商人のまちとして栄えていたため、商人たちの寄進などによって見事な曳山が築造され、今日まで残ってきた。一番多いときには、曳山の数は20基もあったという。曳山の維持・管理には相当の労力とお金も必要だが、今日まで引き継いできた日野の人々の「日野まつり」に対する情熱は計り知れない。

宵宮で札の辻に集まった曳山から祭囃子が聞こえてきた。

宵宮で札の辻に集まった曳山から祭囃子が聞こえてきた。

 町の人が総力を挙げて行う祭りというだけあって、その準備は早くも3月の中旬頃から始まる。4月に入ると祭囃子の稽古や曳山の上に飾られる「ダシ」と呼ばれる飾り人形の制作にとりかかる。祭りの本番が近づく4月20日の前後には、「地渡し」と地元の人が呼ぶ神輿担ぎの練習も行われ、曳山を有する各町では随時寄り合いで祭りの開催についての取り決めなどがなされていく。
 5月2日の宵宮では、午後2時過ぎから馬見岡綿向神社を神輿が出て、4時ごろ町中にある西之宮神社に宮入りし、例祭が執り行われた。夕暮れからは各町内の曳山がそれぞれの曳山庫の前やかつて高札場があったという「札の辻」に集まり、各町、曳山ごとに特徴のある祭囃子が奏でられた。赤色の提灯のやさしい灯に浮かび上がる曳山からは、にぎやかな祭囃子が夜空に響き渡る。新町「八景閣」、本町「鳳仙社」、越川町「翔閣」の3基の曳山が並び、地元の人も訪問客もみな祭囃子の音色に耳を澄ましていた。

馬見岡綿向神社境内に出揃った各町の曳山。ダシと呼ばれる人形がアクセント。

馬見岡綿向神社境内に出揃った各町の曳山。ダシと呼ばれる人形がアクセント。

 町内を練り歩く曳山は、古くからの狭い道を通ってちょっとずつ進んでいく。時折、辻では屋台囃子の音色とともに「ぎんぎりまわし」が行われる。「ぎんぎりまわし」とは、曳山を方向転換する作業のことで、曳山の下から芯棒を出し、それをテコに引き手総勢で体重を掛けて曳山を一気に90度廻す。威勢のいい掛け声が飛び交うこのときの緊張感がまた何ともいえない。電信柱や看板、屋根の庇など、曳山の巡行にとって町は障害物だらけ。引き手は決して気を抜けない。宵宮は夜10時ごろまで続いた。
 3日の本祭は、午前3時に「起こし太鼓」が打ち鳴らされることから始まる。午前7時過ぎから日野まつりの運営を取り仕切る「芝田楽」とも呼ばれる「神調社」が、神子の3人を警護するように連れ立ち、上野田地区にある五社神社を出発。午前8時半ごろに馬見岡綿向神社に宮入りした。一方、各町から曳山が順次出発し、日野の町なかを貫く本通りに続々と入ってくる。「登り山」と呼ばれる光景だ。西大路の曳山、「仁正寺」を先頭に、11時までには各町からの曳山が綿向神社に宮入りした。11時過ぎ、この勢揃いした曳山を前に、渡御行列が御旅所へ向けて出発する瞬間こそが、日野まつり本祭の一番の見もの。祭り関係者と大勢の見物客が境内に集まり、一斉に曳山から奏でられる祭囃子とともに渡御の行列が出発。このとき、境内一帯はクライマックスにふさわしい熱気に包まれた。

馬見岡綿向神社前の参道を神輿が練り歩く。

馬見岡綿向神社前の参道を神輿が練り歩く。

 その後、神子と神調社、渡御行列は口之宮神社のあるひばり野御旅所に向かい、「馬諌めの儀」などの神事が御旅所で執り行われた。一行は、御旅所での神事を終えると、また綿向神社へ。午後4時から午後5時ごろにかけて、神輿などの渡御行列が綿向神社へと再度宮入りした。このころまでには祭りの参加者たちの多くも、お酒ですっかり上機嫌。神社拝殿に日の丸の扇子を持った男衆たちが上がり、「ドントヤレ、ヤレヤレ、ドントヤレ、ヤレヤレ」の大きな掛け声で祭り気分を盛り上げた。
 曳山が見ものの祭りは県内のいくつかの場所で繰り広げられるが、日野にしかないものといえば、やはり「桟敷窓」。もともと日野祭を眺めるだけのために作られた窓が板塀にあるのが風情を感じさせる。日野まつりの期間中は、「桟敷窓アート」というイベントも同時に繰り広げられていた。
(取材日:平成22年5月)

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