芸術再発見

湖族の郷アートプロジェクト・大津市堅田

湖族の郷アートプロジェクト・大津市堅田

基本情報
名称 湖族の郷アートプロジェクト
URL http://2style.net/kozoku2011/6.html(第6回公式HP)
文化財指定等
所在地 滋賀県大津市堅田地域
電話番号 MAIL:info@u-si.org(担当:NPO法人U-si Artist Network)
TEL:077-572-0425(担当:大津北商工会)※最新情報はこちらへお問い合わせください。
開催日 2011年は 11月19日、20日、26日、27日
定休日等
料金
※平成23年11月現在

~芸術大学生と地域のコラボレーション~

民家に展示された作品など、散策しながらどこに作品があるのか探すのも楽しみ方の一つだ。

 2007年より滋賀県大津市堅田地域で開催されているアートイベント『湖族の郷アートプロジェクト』。「人と人をHEARTでつなぐ」をテーマに今年で6回目を迎えた。湖族の郷アートプロジェクト実行委員会が主催し、成安造形大学の学生が中心となって取り組み、そして堅田地域の人々が様々な形で協力して行われている。
 普段、アートにあまり興味のない人々にも関心を持ってもらおうと取り組まれているもので、空き家、商店、神社、お寺、教会、琵琶湖の浜辺など中世から湖族の郷として栄えた面影の残る本堅田のあらゆる場所が作品の展示場となる。古い民家の中に展示された作品を興味深く鑑賞する人や、地域の中にある作品を見ようと散策する人々などで堅田の町が賑わいを見せる。

今は使われていないまちの銭湯がアートの展示場に大変身。大人は懐かしさと作品の面白さを、子どもは銭湯を初めて見る驚きとタイルで描かれた絵の発見など楽しんでいた。

 2011年のアートイベントは11月19、20、26、27日の4日間行われた。オープニングイベントは天候により中止となってしまったが、19箇所ある展示スペースには学生やアーティストの作品が並んだ。多くの人に楽しんでもらおうとワークショップなども開かれ、子どもたちが参加している姿も見ることができた。エンディングイベントでは神社の境内で学生によるファッションショーが行われ、その後も書道家・武田双鳳氏の書道パフォーマンス、湖族太鼓の演奏や地域バンドの演奏が行われるなど盛り上がった。
 学生代表を務めた成安造形大学1回生の田中さんは「最初は地域のことがわからなく戸惑うことが多かった。でも、実行委員の方や地域の方の協力もあって、トラブルは多かったけれど無事イベントを迎えることができた。パンフレットを持って来場される方をみると嬉しくなります」と大学1年目で大きなプロジェクトに携わる心境を語ってくれた。

エンディングイベントの一つ、学生によるファッションショー。神社の境内で行われ、観客からは感嘆の声があがる。

 湖族の郷アートプロジェクトは、学生の「地域の人々に作品を見てもらいたい」という思いから始まったという。当時、成安造形大学の4回生が卒業制作の作品展を開く所として京都や浜大津近辺などの案があったなか、学生から「地元の人にも見てほしい」という意見があり、堅田で開かれることになった。
 最初は地域の人々の中にも活動が浸透せず、「この子たちは誰なんだろうか」という戸惑いがあったという。活動に対しても積極的に協力していくという流れではなかったそうだ。授業や制作活動が中心の芸術大学の学生にとって地域の人々と関わることや交渉を持つことは慣れないことばかり。プロジェクトに協力する大津北商工会では学生に挨拶の指導をするなどコミュニケーションの基礎に取り組んだという。そのような取組もあり、制作活動が始まると、学生と地域の人が交流をしていく中で自然とつながりもできてきたそうだ。学生に差し入れをする姿や、一緒にご飯を食べる姿が見られるようになったという。

漁港の倉庫で学生たちの手作り品などが並ぶフリーマーケット。地域との協力無しでは実現できない取組だ。

 イベントが行われるまでは浮御堂に訪れる人などが中心であったが、学生が制作活動を始めてからは若者が町を歩く姿が増えたそうだ。また、イベント当日には遠くからも学生の両親や、イベントを知ってやってくる一般の方など、堅田に訪れる人が増えたと実感できるという。「学生によく言うのは授業やクラブ活動だけで大学生活を過ごすのはもったいないということ。私自身、地方に出たときは地域の文化や歴史も多いに学んだ。学生のみんなもそうであってほしい。また、地元の人々と交流や交渉ごとを持つことは就職してからも大いに役立つことだ」と、イベントを応援している商店の方は話してくれた。一度堅田を訪れたことのある人もまた訪れてくれるきっかけになるとプロジェクトには期待しているという。
 学生と地域が協力し合って地域に根付いてきた湖族の郷アートプロジェクト。しかし、今まで作品を展示してきた民家が取り壊される、展示場所の手配に人手がかかる、今後さらなる広報活動が必要など課題は多い。
 芸術大学ならではの取組と地域が協力してできるイベント。イベントとして盛り上がりを見せるだけでなく、大学と地域の連携を考えさせられる取組にもなっている。

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