芸術再発見

マリンバ奏者 奥村夏海さん

マリンバ奏者 奥村夏海さん

~ザ・ファーストリサイタル2011出演者に聞く 奥村夏海さん~

平成22年1月15日に行われた、滋賀県新人演奏会優秀賞受賞者によるグリーンリーブスコンサートの直前リハーサルに打ち込む奥村さん

 現役の大学院生であると同時に、プロのマリンバ演奏家としても活躍している奥村夏海さん。「ザ・ファーストリサイタル2011」の奏者のひとりとして選ばれ、平成23年2月20日に滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールで4曲を演奏した。奥村さんが音楽に目覚めたのは幼稚園の頃。エレクトーンを習い始めたのがきっかけだ。将来はエレクトーンの先生になりたいとの夢も持っていたといい、中学校では吹奏楽部に入部し、打楽器を担当。みんなと息を合わせて演奏し、お互いを支えあうという、今までとは違った演奏を経験し、その魅力に目覚めていく。
 志向する楽器は変わっても音楽の道に進みたいという夢は変わらず、県唯一の音楽専攻科である、県立石山高等学校音楽科を選んだ。

大きなマリンバを小柄な奥村さんが見事に操る。まるで奥村さんと楽器が一体化したように感じられる

 マリンバと出合ったのは高校生の時だった。打楽器で高校受験をして、合格したのはいいものの、先輩たちがいるためになかなか頭一つ抜け出すことはできなかった。「少しでも目立ちたいと、先輩が選択していない打楽器を担当したいと思い、みつけたのがマリンバでした」と話す。当時、自分でも驚くくらいの集中力を発揮してマリンバの練習に取り組んだという。「のびのび練習できたおかげか、すごく成長したのを実感できました。きっとマリンバという楽器が自分に合っていたのだと思います」と奥村さん。マリンバとの運命的な出合いがなければ、今の自分はなかったとも語る。
 高校2年生の冬には、最大8名で演奏を行う吹奏楽アンサンブルコンテストにも参加した。全国大会を目指し、練習を重ねたという。「校内から2組しか選ばれない選抜に通り、滋賀大会に出ることができました」。その後は関西大会を勝ち進み、石山高校で初めての全国大会出場も果たす。「プレッシャーを跳ねのけて一生懸命練習したのが実を結びました。目標や勝負事に向けて練習するのが私には苦にならないのも分かりました。コンテストで結果を出せたことで、はじめて周囲や学校が認めてくれたような気がしたのが一番嬉しかったことかもしれません」  自信をつけた奥村さんは、京都市立芸術大学音楽学部へと進学。さらに現在は私立エリザベト音楽大学大学院修士課程で、練習漬けの毎日を送りつつ、マリンバのソロプレイヤーを目指して演奏家活動にも積極的に取り組んでいる。

体全体を使って、ダイナミックに演奏する。全身で音楽を表現しているのが見ているものに伝わってくる。

 しかしマリンバ奏者、特にオーケストラに所属するのではなくソロ奏者を目指すうえで、難しいことも多いという。楽器の知名度の問題や、楽器自体の歴史の浅さも立ちはだかる。「クラシックの作曲家がマリンバのために曲を作り始めてまだ50年ほどですので、楽器自体も演奏方法もまだまだ発展途上にあります。私自身も新しい奏法をみつけるなど、ほかの楽器に比べて努力をしていきたいですね。もうひとつ、マリンバという楽器や演奏を皆さんに広める活動にも力を入れたいと思っています」と奥村さん。マリンバならではのよさや特徴を生かした演奏が今後の課題になる。「マリンバは、鍵盤をマレットと呼ばれるばちで叩いて演奏します。マレットの動きは目に見えますので、視覚的にも理解しやすいのが特徴です。音楽は聴覚で感じる部分が多いですが、奏者である私自身動作など、音以外の部分でも音楽を伝えていけるような演奏を心がけています」と、マリンバが奏でる音だけでなく、演奏者も含めた表現を目指している。

 高校生までを滋賀で過ごした奥村さん。滋賀を離れている現在も「ホームタウン」というという意識を持っているという。滋賀について話を聞くと「滋賀を離れて初めて気付いたのですが、滋賀の人はとても心が優しいように感じます。のんびりしている雰囲気も大好きです」と話す。音楽家や芸術家の活動を支援する体制が整っているのも魅力だそう。「出演させていただいた『ザ・ファーストリサイタル』もそうですが、若い人に多くのチャンスが与えられていると感じます。文化芸術へのサポートもしっかりしていただいていますし、各ホールの設備や質が高いのも魅力です」と語る。「滋賀出身の芸術家は多いですが、故郷を離れて関東や海外へと羽ばたいても、必ず地元に戻ってコンサートを行うなど、滋賀を盛り上げるような活動をしています。私も、そんな気持ちで将来に向けて頑張って行きたいと思います」
(取材日:平成23年1月13日)

(プロフィール)
大津市出身。
滋賀県立石山高等学校音楽科を経て、平成22年年3月京都市立芸術大学音楽学部打楽器専攻を卒業。
現在、私立エリザベト音楽大学大学院修士課程2回生在籍中。
平成20年度平和堂財団芸術奨励賞(音楽部門)、第14回KOBE国際音楽コンクールにて奨励賞、第13回長江杯国際音楽コンクールにて一般の部第2位(1位なし)を受賞。
関西打楽器新人演奏会に出演、推薦を得て日本打楽器協会主催の東京新人演奏会に関西代表として出演。
第9回滋賀県新人演奏会管弦打楽器部門優秀賞ならびに全部門最優秀賞を受賞。
(財)滋賀県文化復興事業団「ザ・ファーストリサイタル2010-2011オーディション」に合格。
第156回日演連推薦・新人演奏会にて小田野宏之指揮・広島交響楽団とコンチェルトの協演を果たす。
西岡まり子、中路友恵、中谷満、上中あさみ、山本毅、種谷睦子、名倉誠人、神谷百子の各氏に師事。
(平成23年1月現在)

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