芸術再発見

ピアノ奏者 山本惇加さん

ピアノ奏者 山本惇加さん

~「ザ・ファーストリサイタル2011」出演者に聞く 山本惇加さん~

「ザ・ファーストリサイタル2011」に向けて、文化産業交流会館にて練習を行う山本さん。

 山本惇加さんは長らくドイツへ音楽留学し、2010年に帰国。学校で音楽の講師として働きながら、演奏家としても少しずつ活動を始めている。今回、「ザ・ファーストリサイタル2011」の奏者のひとりとして選ばれ、平成23年2月20日に滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールでピアノ演奏を披露した。 4歳でピアノを習い始めた山本さん。以降、現在までずっと音楽の道を歩んできた。中学時代は吹奏楽部に所属し、フルートやピッコロを担当していたが、高校への進学を考えた際に、趣味であったピアノにもっと本格的に取り組みたいと石山高等学校音楽科を志望した。無事に進学した後は、ピアノ一本に打ち込んだ。

流れるように動く指先が、しなやかで力強い音を生み出す

 大学進学時には「もう少し前進したい」「もっとレベルの高い演奏を」との気持ちから、同志社女子大学で音楽を続けることになった。大学で音楽の勉強を続ける中、次第に海外留学との思いが強くなっていったという。「世界に興味を持ち始めたのは、大学2回生の頃でした。クラシック音楽を勉強している中で、現地を見たいとの思いが強くなっていきました」。しかし、資金的な問題もありすぐに留学というわけにはいかなかった。アルバイトをして資金を貯め、奨学金を取得できることになって、ようやくドイツのフライブルク大学へと留学が叶ったのは2007年のこと。留学では新たな発見や演奏が変化するような素晴らしい経験をたくさん得たという。「留学を通じて、さまざまなことを学びましたが、演奏という分野に限れば表現の手段を身につけたように思います。演奏は自分の気持ちの表現だともいえます。留学中に学校やホームステイ先のお宅、ドイツでの生活や出会った人々、演奏経験など、留学中のすべてを通じて、気持ちを相手に伝える方法を教わったような気がします」。2009年3月にフライブルク大学を卒業。日本や滋賀、家族への思いもあり、翌年帰国。留学し、ドイツでの生活や文化に触れ、また日本を外から眺めたことによって、日本や故郷といったものに対する心境の変化もあったという。

山本さんは「留学も含めて、これまでのすべての経験が私の音楽の糧になっていると思います」と語る。

 「滋賀県は自然が豊かで、人々の気質も大らか」だと山本さん。山本さん自身を育んでくれたのも、滋賀という環境が大きかったという。ピアニストとしても「演奏の場も多く、若手に機会を与えてくれます。チャンスをたくさん用意してくださっているのも滋賀の魅力のひとつ。音楽だけでなく、滋賀で芸術の道を志す若手は恵まれていると思います」とのこと。一度滋賀を離れて外から眺め、戻ってきてはじめてそのよさが見えた部分も多いと話してくれた。山本さんは、「常にオープンで、さまざまなものを受け入れてくれる懐の深い地域でもあると思います」とも話す。古くてよいものが残っていて、人々のあたたかさも感じる滋賀が、山本さんにとって安心できる“マイホーム”と呼べる場所なのだ。

 

 今後の活動については、教職と演奏活動をどちらも続けたいと山本さん。教師としては「子どもたちにチャレンジする勇気や自分自身を表現する方法を教えたい」との目標があり、演奏家としては「滋賀の自然をテーマに発信したい」との思いがある。「今後はジャンルや垣根を越えて共感できる人同士が繋がり、周囲や聞く人の共感を呼ぶような活動を通じて、自分を育ててくれた滋賀に貢献できるような活動をしていきたいです」と話す。また「滋賀に芸術家が活躍できる場がありますが、内側からの活動を続けてもっと機会や場を増やしたいという希望もあります。才能を持った若い人たちがどんどん活躍して、滋賀やそのほかの地域に住む方に、聴いて・観て・感じてもらえる機会が増えればいいなと思います」と、自身の夢を語った。
(取材日:平成23年2月4日)

(プロフィール)
高島市在住。
滋賀県立石山高等学校音楽科を経て、同志社女子大学学芸学部音楽学科演奏専攻卒業。
フライブルク大学ディプロム課程修了。
平成14年・17年、国際芸術連盟主催演奏会出演。
第7回長江国際音楽コンクール第3位。
平成19年・20年・21年フライブルクにてソロ・リサイタル。
2009年ハンブルク クヴィックボルンにてリート・リサイタル。
(財)滋賀県文化復興事業団「ザ・ファーストリサイタル2010-2011オーディション」に合格。
2011年3月まで中学校の非常勤講師として、2011年4月からは高校の常勤講師として勤務する。
椿久美子、名畑ゆかり、フェリックス・ゴットリーブ、テイボーザース、ハンス=ペーター・ミュラーの各氏に師事。
(平成23年2月現在)

関連タグ一覧