芸術再発見

画家・藤井俊治さん

画家・藤井俊治さん

~平成23年度滋賀県次世代文化賞受賞者に聞く~

京都文化博物館で行われた「京都美術・工芸ビエンナーレ2012」。来場者に作品の解説を行う藤井さん。

平成23年度に新設された滋賀県次世代文化賞を受賞した藤井俊治さん。現在は、成安造形大学で教務員として働きながら作品づくりを行っている。平成16年、大学3回生のときに若手美術家の登竜門と位置づけられる「シェル美術賞2004」でグランプリを受賞。群馬青年ビエンナーレ05や京展での入賞等、数々の受賞暦を持つ。滋賀県次世代文化賞を受賞したことについては「新設された賞で、1回目に選ばれたことは光栄なこと。作品制作の励みになります。でもまさか自分が受賞するとは思っていませんでした」と少し笑みをこぼした。

「名前も知らないパレード」自作の前で。

 藤井さんが絵を描くきっかけとなったのは鳥山明氏の漫画「ドラゴンボール」だという。小学校4~5年生のときにキャラクターを描き写すなどしており、描いた絵は教室の掲示板に貼ってもらい、友人からも褒めてもらっていたそうだ。
 さらに絵の世界に進むことになったのは小学6年生のとき。友達が通っていた画塾を紹介してもらい、両親を説得して通うようになった。この画塾ではデッサンなどの指導を通して、先生の影響をたくさん受けてきたという。
 その後は成安造形大学に進学。当時は、斜視の人や無表情な人を描く今の画風とは違った作品を制作していた。転機を迎えたのは大学3年生の前期で、大学の先生から受けた作品の評価があまりにも酷評であったこと。そのときのショックは大きく、このままではいけないと自分の作品を模索することにした。

 赤外線サーモグラフィーに映った人の体温がわかる画像からヒントを得るなど、試行錯誤のすえ「今までの『ものさし』とはまったく違うもので描こう」と、意識して今までの作品とは別のものにしたという。これが功を奏し、シェル美術賞2004のグランプリ受賞につながった。その後、大学院に進学し、作品をより深めていく。
 藤井さんの作品は半抽象的な絵画である。事物と自分の距離感を意識して、人にある曖昧さ、人の中に隠れているものを感じるようになったことから人物をモチーフとした絵を描くようになったという。また、自分を行動してから考えるタイプだと分析する。試行錯誤を繰り返し、自分が表現したいものをいかに作品につくりこんでいくことができるかを考えていく中で現在の描画方法になったと振り返る。そのような経験の中で人物だけでなく、様々なモチーフを扱うようになったという。

「一点一点を大切に真摯に向き合っていく」絵に対する思いを語る藤井さん。

 藤井さんは生まれ育った滋賀県を「時間の流れや季節、自分が思っていることも含めてはっとさせてくれる土地だと感じている。京都や奈良に挟まれているというのも面白い。いい意味で見慣れなさがあって、色々なことを知っていくことで少しずつ魅力的なものにかわっていく」。滋賀県甲賀市で生まれ育った藤井さんにとって普段暮らしている場所からはびわ湖は見えない。逆にびわ湖を見る風景がいつ見ても新鮮で、通勤の際には車を走らせていると心が洗われるようだという。
 真摯に絵に向き合っていきたいと話す藤井さんにとって、絵を描くことは自分にとっての日常であり、生活を営む中で自分を吐き出すための器でもある。「多くの人に見てもらえる場所やタイミングで、責任ある自分の作品を出していきたい」と力強く話してくれた。

プロフィール
1983 滋賀県生まれ
2006 成安造形大学造形美術科洋画クラス卒業
2007 成安造形大学造形美術科洋画クラス研究生修了
2008 第23回ホルベインスカラシップ奨学者認定
2009 京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻細目油画修了

個展
2008  個展(Oギャラリーeyes・大阪)
   個展(OギャラリーUP.S・東京)
2009  個展(ギャラリーほそかわ・大阪)
2012  個展(ギャラリーほそかわ・大阪)予定

グループ展など
2008 シェル美術賞2007京都展 2003,2004年入賞者コーナー(京都市美術館・京都)
     キュレーターズ・アイ 2008(ギャラリーマロニエ・京都)
     ART OSAKA2008(堂島ホテル・大阪)(‘09)
     四条ストリートギャラリー(京都・四条通)
2009 incubation08 now here,nowhere (京都芸術センター) 
     エモーション・リリース(成安造形大学ギャラリーアートサイト・滋賀・
                      巡回展 湖南市立甲西図書館・滋賀)
     New Location/Generation(ギャラリーほそかわ・大阪) 
2010 第29回損保ジャパン美術財団選抜奨励展(損保ジャパン東郷青児美術館・東京)
     The 5 th Kozokunosato art project(堅田地域 港湯/はり松・滋賀)(‘06)
2011 Kyoto open studio 2011 in HI-NEST BLDG.(ハイネストビル・京都)
     DONATIONS!!(GURA・京都)
     body entrance 松村晃泰×藤井俊治(ギャラリー揺・京都)
     Art Court Frontier 2011 #9(アートコートギャラリー・大阪)
     今年のまとめ 藤井俊治+吉田周平(ハイネストビル・京都)
2012 京都府美術工芸新鋭展 2012京都美術・工芸ビエンナーレ(京都文化博物館・京都) 
     BIWAKOアートフェスティバル(びわ湖ホール ホワイエ・滋賀)
     エモーション・リリース:リプリーズ(成安造形大学【キャンパスが美術館】
     ギャラリーアートサイト (4月20日〜5月10日 滋賀)
     HOTEL GRANVIA OSAKA 26F GRANVIA FLOOR「憩」art works project @ KCUA
                                           (‘09. ‘10.‘11.‘12)予定

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