芸術再発見

県立文化産業交流会館・米原市下多良

県立文化産業交流会館・米原市下多良

基本情報
名称 県立文化産業交流会館
URL http://www.shiga-bunshin.or.jp/bunsan/
文化財指定等
所在地 滋賀県米原市下多良2丁目137
電話番号 0749-52-5111
営業時間 9:30~19:00
定休日等 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌火曜日)、 12月29日~1月3日
料金 ホール、会議室、練習室の使用料金については、県立文化産業交流会館にお問合せください
※平成23年3月現在

~邦楽・邦舞に力を注ぎ地域の伝統芸能を活性化~

JR米原駅西口から徒歩約5分の距離にある。イベントホールはフルフラットにすることが可能。

 「滋賀県立文化産業交流会館」は、新幹線駅や高速道路ジャンクションなど近畿・東海・北陸の交通結節点である米原市の地理的特性を生かすとともに、多目的な用途に利用できる県内最大規模の約2000人を収容できるイベントホールを中心にして、昭和63年の開館以来、湖北湖東地域のみならず県内全域、そして県外の利用者に文化芸術と親しむ機会を提供している。これまでポップスコンサートやクラシック、フリーマーケット等多ジャンルの催しを開き、文化の活性化に寄与してきた。

県立文化産業交流会館のロビーの様子。「近淡海の祭り avec こどもワールドフェスティバル」の企画のひとつとして、ロビーにはタイや中国、韓国の屋台が出て、食べ物などが販売された。

 同館はメインのホール以外にも小劇場、練習室、会議室等の施設を有しており、各種団体に文化芸術に関する催しなどに加えて、大会や集会、会議、展示会等の多様な利用目的に貸し出しを行っている。そのほか、びわこ文化センターの文化教室、滋賀県レイカディア大学米原校、海外旅券窓口に加えて、小規模事業所等の活動拠点としてSOHOビジネスオフィスが設置され、起業家支援のための事業が実施されるなど、滋賀県の文化と産業の交流拠点として機能しているのが特徴だ。従来の自主事業や貸し館業務に加え、平成23年春から邦楽や邦舞の自主事業に力を注いでいる。

 古くから交通の要衝であったために、さまざまな文化が交流する地であった滋賀県には、多彩な伝統文化が今も息づいている。それら県の伝統文化を継承することを目的に、運営を行う県文化振興事業団は、会館が位置する滋賀県北部が和楽器糸の産地であることから、優れた邦楽・邦舞の公演を制作発信できる劇場として特徴付け、運営していきたいと考えている。
 年2回、明治時代に長浜にあった芝居小屋・長栄座を模した昔ながらの桟敷席の芝居小屋をホール内のアリーナに仮設・復元し、そこで邦楽や邦舞、歌舞伎や落語などの伝統芸能を上演する予定だ。また舞台の制作だけでなく、専属の演者集団の結成を目指すなど伝統芸能を継承する人材の育成にも取り組む。
 同館の特徴的な取組のひとつとなる「伝統と創造シリーズ」は、滋賀ゆかりの題材や芸術家による伝統芸能の公演である。その第一弾、「受け継がれゆくもの」を平成23年3月23日に開催。大津市在住の浄瑠璃太夫、常磐津一巴太夫さんと、大津市出身の尺八奏者、山本邦山さんの人間国宝2人による邦楽、邦舞「藤娘」大津絵スタイル、現代邦楽 藤井凡大作曲 箏と女声合唱と語りによる「伊勢物語抄」が披露された。

3月20日の地域伝統芸能ステージには「こどもが出る祭り」と題して、伊吹山奉納太鼓踊り、おはな踊り、高宮町かぼちゃ踊りが登場した。

  平成23年3月20・21日に開催された「近淡海の祭り avec こどもワールドフェスティバル」も、同館の新たな取組である。これは平成22年度の文化庁「地域伝統文化総合活性化事業」の採択を受けた事業だ。同事業は、「地域に伝わる伝統文化の活性化や伝承等のため、各地域の主体的、総合的な取組を支援することにより、有形・無形の歴史的な文化遺産を活かしたまちづくりや伝統文化の確実な継承と地域の活性化に資する」ことを目的としている。
 県内には特色ある地域伝統芸能が多く育まれているが、一方で後継者不足等の問題に悩んでいるものも多くある。同フェスティバルは、地域伝統芸能を今に伝える団体を広く県民に紹介し、湖国の文化の魅力と奥深さを知ってもらい、地域文化の活性化および発展を図ることを目的にしている。また同時に「国際文化交流事業」を開催することで、同フェスティバルに参加した人々が互いの国の文化に対して理解や知識を深めることも兼ねている。

 メインとなる「地域伝統芸能ステージ」で、伊吹山奉納太鼓踊り(米原市上野)、丹生茶わん祭(長浜市余呉町)などの地域伝統芸能団体が祭りを披露。またプロの演奏家やア・カペラグループの演奏や歌も行われた。「多文化ステージ」では、高校のチアリーディング部や吹奏楽部、各種文化団体・サークルなどによる演技・演奏、コラボレーションの催しものが行われた。
 同館の職員は、伝統芸能に力を注ぐことについて「これまで邦楽の公演は何度も行ってきましたが、重点的な取組にはなっていませんでした。次世代に伝統文化を継承するためには、できるだけ多くの方に伝統文化の魅力をアピールすることがスタートです。そのために文化産業交流会館のイベントホール内に芝居小屋を特設するなど、これまでにない企画も行っていきます」と語る。「伝統芸能への理解を深めていただくために『アートマネジメント等人材育成講座』も開催しました。私たち自身も更に知識や理解を深める必要がありますので、その面でも非常に有意義だったと思います」と、発信する側の人材育成にも注力しているという。

「祭りの場以外で踊るのに抵抗がある団体も多く、出演していただくための交渉も困難ですが、来年はもっと多くの団体に参加していただけるようにしたいと思っています」

「近淡海の祭り avec こどもワールドフェスティバル」については、「子供たちは次世代の文化の担い手です。その子供たちが自国と他国の文化に気軽に親しめる場として、同フェスティバルが企画されました。色々な形で他国の伝統文化と交流することは、自国の伝統文化に目を向けるきっかけになると思います」とのこと。同フェスティバルは平成24年も開催される予定だ。「『伝統芸能』というとつい身構えてしまいがちですが、実際に触れてみるとそんなことはありません。滋賀県には生活に密着した形で伝統文化が根付いており、県民の皆さんは知らず知らずのうちに伝統芸能に慣れ親しんでおられます。ぜひ気軽な気持ちで催しに足を運んでください」
(取材日:平成23年3月16日)

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