芸術再発見

滋賀県立陶芸の森・甲賀市信楽町

滋賀県立陶芸の森・甲賀市信楽町

基本情報
名称 滋賀県立陶芸の森
URL http://www.sccp.or.jp/
文化財指定等:
所在地 甲賀市信楽町勅旨2188-7
電話番号 0748-83-0909
開園時間 9時30分〜17時※陶芸館、信楽産業展示館への入館は16時30分まで
定休日等 毎週月曜日(ただし、月曜日が祝日の場合はその翌日)、年末年始
料金 無料
※平成22年9月現在

~世界各国から注目される、次世代の陶芸家を育成する取り組み~

公園の丘からみた研修館の様子。建物の前には研修にやってきたアーティストからの寄付作品が並ぶ。

公園の丘からみた研修館の様子。建物の前には研修にやってきたアーティストからの寄付作品が並ぶ。

「やきものの里」として広く名を知られる信楽高原。その信楽の自然に囲まれた、滋賀県立陶芸の森は40ヘクタールの広大な敷地内に、「やきもの」をテーマにした美術館、産業振興施設、研修施設を備えた公園だ。美術館の「陶芸館」では国内外の現代陶芸、滋賀ゆかりの陶芸などを収集・展示しているほか、やきものに関する鑑賞教育や体験教育の場を提供。「信楽産業展示館」では、信楽焼の最新の産業製品が総合的に展示紹介されている。また館内に350人収容できるホールも備え、イベントにも活用される。そして「創作研修館」は、「やきもの」の伝統と歴史を持つ信楽の環境と、陶芸の森が有する設備を活用し、創造的な作品づくりを支援する国内唯一の施設である。

花器をつくるデレック・ラーセンさん。楽しみながら、真剣に創作活動を行っている。

 創作研修館が行っている取り組みが「アーティスト・イン・レジデンス事業」だ。国内外から陶芸で制作を行う人々を受け入れ、自由に作品制作を行う機会を提供している。10人程度の陶芸家が、スタジオ・アーティストとして陶芸の森に一定期間滞在し、作品制作に打ち込んでいる。次代の陶芸家を育成するために行っている事業で、1992年の開始からこれまでに募集や招待されたアーティストは48カ国、780人以上にものぼる。
 創作研修課 課長心得 杉山道夫さんによると「この事業では、カリキュラムがなく、陶芸家自身がメニューを考えて創作活動を行っています。そのためには魅力的なハードやソフトを備え、アーティストたちの創作意欲を引き出せる場でなければいけません。創作研修館には登り窯や穴窯、5.2立方mの大きなガス窯などがあり、設備面でも彼らにとって魅力があると思います」とのこと。

高さ2mまでの大きな陶芸作品を焼くことのできる窯。大物づくりは、信楽独特の伝統のひとつでもある。

高さ2mまでの大きな陶芸作品を焼くことのできる窯。大物づくりは、信楽独特の伝統のひとつでもある。

 アーティスト・イン・レジデンス事業では、スタジオ・アーティストのほかに、著名な陶芸家や芸術家がゲスト・アーティストとして招かれ、作風や年齢、国籍などさまざまな人たちが数ヶ月間、創作研修館に滞在して創作活動に励んでいる。スタジオ・アーティストはゲスト・アーティストの仕事ぶりを間近で見て、レベルアップすることができるし、スタジオ・アーティスト同士が文化や作風、考え方などの違いから生まれる芸術的な刺激を与え合い、切磋琢磨することができる。また、地元の信楽焼の作家との交流やコラボレーションを通して、信楽焼そのものの伝統的な技法を学ぶこともできる。
 「信楽焼、信楽の地名は、日本人が思っている以上に海外でネームバリューがあり、海外の陶芸家たちからこの事業は注目されています。またアーティスト・イン・レジデンス事業に参加して母国に帰った人から『日本の“Shigaraki”には素晴らしい施設がある』と口コミで評判が広がっているようです。目に見えないところで『信楽』『陶芸の森』への関心や興味が高まっています」と、海外からの熱い視線について杉山さんは語った。「信楽焼、そして信楽の地が持っているパワーは非常に強力ですが、上手くその力を引き出す必要があります。滋賀の、そして信楽のブランド力を高めていくことが、アーティスト・イン・レジデンス事業の目的の一つでもあります。次世代の陶芸家の育成と、新しい陶芸文化の国際社会への発信がこの事業を通して同時に行われており、それがこの陶芸の森で行われていることに重要な意味があると思います」

公園内には陶芸作品がいくつも配置され、自然のなかで陶芸と触れ合うことができる。

公園内には陶芸作品がいくつも配置され、自然のなかで陶芸と触れ合うことができる。

 8月から滞在しているアメリカ人陶芸家のデレック・ラーセンさんに話を伺った。「私はアメリカでやきもののデザインの仕事をしていましたが、日本で陶芸を学んでみたいと思い、2年前に来日しました。そして、このアーティスト・イン・レジデンスのことを知って応募したんです。古信楽はきれいで、穴窯もいい。それに素材としての信楽の土は、とても面白くって好きです。そしてここでは、周囲の陶芸家たちと一緒にご飯を食べたりプライベートを過ごしたりして生活することでたくさんの刺激を受けて、自分自身を成長させることができます。素晴らしい環境ですね」と日本語で気さくに語ってくださった。ラーセンさんは1月まで滞在予定のこと。
 スタジオ・アーティストたちの創作活動は、事務所に事前に許可をとれば見学することも可能。信楽で己を研鑽する陶芸家たちの創作活動を、肌で感じてみてはいかがだろうか。
(取材日:平成22年9月22日)

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