生活再発見

勧請縄

勧請縄(かんじょうなわ)

基本情報
名称 勧請縄(かんじょうなわ)
所在地 日野町 東近江市 近江八幡市 野洲市 大津市

※平成31年3月現在

~災厄を防ぎ村の安全を守る年頭行事~

 

 中世後期最大の説話集『三国伝記』{応永14(1407)年の成立}に、勧請縄の伝承が記されている。石山寺の如意輪観音が正月8日に仁王(にんのう)経を読み、勧請縄を吊り、卒塔婆を立てて信仰すれば、七難即滅、七福即生すると告げたという。勧請縄の呼び名は地域によって「仁王会(におうえ)」と呼ばれ、祈祷札に「七難即滅・七福即生」と記されたりするのもこの由来によると思われる。
 現在では村に災難が来ないよう、独特の形の勧請縄が神社や村の入り口や辻に作られるが、一つとして同じものはない。それが、村々の個性につながっているのだが、近年簡素化されたり廃止されたりと継承が危ぶまれる。

 

馬見岡綿向神社(うまみおかわたむきじんじゃ) 日野町

見上げると、太陽のような三日月のような、日月を表したトリクグラズ(中央に吊るされるシンボル)が神社入口の2本の大木に吊られる。小縄は「サガリ」と呼ばれサカキの小枝を結び、真ん中を長く、両端を短くして日を示す。縄の上に12本の小幣を立て、両側の石垣脇の地面に同じ小幣が6本ずつ1列に並ぶ。

 

五智町(ごちちょう) 東近江市(旧八日市)

五智町には2本の勧請縄がある。街道筋で五智如来道の石柱にある南辻と、五智如来の裏手にある集落北口だ。大きなフクラソウ(ソヨゴ)が丸十型のトリクグラズに突き出されている。小縄にも長短の縄にフクラソウが結ばれる。興福寺(五智如来)の祈祷札が地上に立てられる。写真は完成した2本の勧請縄が自治会館に運びこまれた様子。

 

東老蘇鎌宮奥石神社(ひがしおいそかまみやおいそじんじゃ) 近江八幡市

ツバキで作られた大きな丸いトリクグラズが目を惹き付ける。これは文化11(1814)年発行の『近江名所図絵』にも描かれており、当時と変わらず伝承されている。ここでは「マジャラコ」と呼ばれ、神社総代とオトナと呼ばれる人たちによって表参道中程の立木に渡し年末に吊るされる。

 

白王町王之浜(しらおうちょうおうのはま) 近江八幡市

若宮神社の鳥居と本殿の間に吊られる。主縄が非常に長く、モロギ(ネズ)で作られたトリクグラズが地面に着くほど低くなっている。三本の不思議な形の小幣がかわいい。小縄にはヒノキ、スギ、サカキ、雌カシ、雄カシ、ユズリハ、ネズ、カナメの8種の小枝が結ばれる。

 

行事神社 野洲市行畑(ゆきはた)

長い割竹を使った縦・横・右斜め・左斜め4本ずつの格子に小さな丸が入った独特なトリクグラズ。神社の境内に低く吊られる。小縄はカシの枝束を結んだ長い縄にカシの枝を串刺しにし平たくしたものが下げられる。平成17(2005)年にトリクグラズを作られていた方が亡くなり、つくり方が途絶えたが氏子の方が見事に復元された。

 

中保町自治会館 大津市浜大津

大津市中心部では唯一の勧請縄。京阪三井寺駅近くの中保(なかほう)町自治会館前に吊られる。綱にミカンの目玉を刺し長い髭を垂らし蛇の頭に見立て、尾は3本に分けて垂らす。1月15日には自治開館前から三井寺近くの三尾神社に運ばれ燃やされる。かつては京阪電車が走る道路を横切って吊られたという。