芸術再発見

芸術準備室ハイセン

芸術準備室ハイセン

 大津市木戸にアーティストインレジデンス施設がオープン。保養所として使われていた建物が、演劇や美術の製作作業・稽古・宿泊も可能な施設として生まれ代わる。他施設にはあまりない裏方のための充実した作業場が特徴。アーティストがクリエーションの密度を高めることができる場所を目指す。都市部から離れた静かな環境で、情報を遮断し集中して創作に取り組める。

 

「芸術準備室ハイセン」外観

※令和2年5月現在

 

基本情報
名称 芸術準備室ハイセン
URL https://haisen8100.tumblr.com/
所在地 〒520-0514 滋賀県大津市木戸1696−2

 

 

~「芸術準備室ハイセン」の神谷俊貴さんを取材しました〜

 

Q:「芸術準備室ハイセン」をオープンした経緯を教えてください。

 

神谷:「僕は京都精華大学の演劇部出身で、そのあとは静岡のSPAC静岡県舞台芸術センターの技術部に所属し、演劇を創る裏方の仕事をしていました。演劇にどっぷり浸かって、本格的な創作現場を知ることができた。そこで、SPACのような充実したものづくりができる施設をつくりたいという夢が生まれました。色んな小劇場の劇団や、アマチュアが気軽に使えて、集まることもできるような場所をつくりたかったんです。自分は、物件サイトを見るのが趣味で、ある日、滋賀県の物件を何気なく見ていたら、安くて広い物件が沢山ありました。『芸術準備室ハイセン』は元々は銀行の保養所で、その物件を買い取った家主さんの倉庫として使われていた場所でした。


 そこは、僕にとって、とても良い場所だったんです。

 

 車を置いていたガレージは作業場になるし、食堂だった28畳の部屋は演劇やダンスの稽古ができるし、寝泊りや休憩ができるような和室もあるし、布団や食器も残っていて、使わせてもらえた。


 あとは、駐車場もあります。家主さんに『創作のためのスペースをつくりたい』という話をしたら、駐車場がないと困るだろうと言って、場所を探してきてくれました。

「芸術準備室ハイセン」で演劇の稽古をする様子

木工・鉄工・塗装ができる作業場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな風にして、『芸術準備室ハイセン』のオープンが決まり、僕は静岡から滋賀に引っ越してくることになりました。」

 

 

 

Q:利用者はどんな人が多いですか?

 

神谷:「今は京都の小劇場関係の利用者が多いです。

 この前は、テントで演劇をする劇団が、駐車場でテントを建てる練習をしていたら、近所の方が『何をやるの?練習だけじゃなくて、ここで公演もやってほしいなあ』と声をかけてくれました。」

 

駐車場でテント設営

バーベキューをする日も

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q:これからどんなことをやりたいですか?

 

神谷:「イベントや、ワークショップもやりたいです。滋賀や京都の演劇の人や、地元の人が交流できるようなことをしたいです。」

 

 

Q:「芸術準備室」という名前にはどんな意味があるんですか?

 

神谷:「そうですね、準備することに重点を置いています。『創作』というと、常に創っていなくてはいけないけれど、『準備』は、ただ本を読んだり、作品のことを考えていたりするんでも良い。ただのんびりしたい、というだけで使用しても構わない、というスタンスでいます。

 施設の設備や場所の使い方も、利用者の人に話を聞きながら、使い勝手が良いように整えていきたいです。そういう風に、一緒に場所を創っていくことを大事にしたいです。」

 

Q:滋賀県にはどんな印象がありますか?

 

神谷:「知らない土地だったので、滋賀県にはびわ湖があるだろう、くらいにしか思っていませんでした。いざ、移り住んでくると、ロケーションのきれいさが良くて、湖も山もでかい。空気も澄んでいる。都市部にはない、ほかにはない魅力がありますね。田舎といえば田舎なんだけれど、スキーやハイキング、観光客もいますし、落ち着いた活気がある町。ちょうど良いバランスで、落ち着ける場所だなあ、と思っています。

 利用者たちも、創作をしながら、良い環境で癒されて帰っていきます。」

 

(取材日)2020年5月4日

 

 

神谷俊貴
1991年生まれ。京都精華大学芸術学部メディア造形学科映像コース中退
2010年より京都精華大学演劇部などで活動、2014年よりSPAC-静岡県舞台芸術センター創作・技術部に所属し大道具製作や演出部・舞台監督を経験、国内外のクリエーションに関わる。2018年よりフリーランスとなり、引き続きSPACに期間契約の他、城崎国際アートセンターへのインターン、愛知県芸術劇場の主催事業、鳥の劇場「鳥の演劇祭」など全国各地へ赴く。小劇場界隈にも豊かな創作環境を実現させたく2019年より滋賀県大津市に「芸術準備室ハイセン」を発起する。
芸術準備室ハイセンについて
滋賀県大津市にある元・保養所をアーティストインレジデンス施設として活用していく事業計画です。特色としては他施設にはあまりない裏方のための作業場を充実させていきます。木工・鉄工・塗装が可能なアトリエでの舞台美術製作や広いスタジオで衣装等の軽作業、さらに同時進行での稽古や長期の宿泊を可能とし、創作初期のワークショップや本番前の追い込みなど、クリエーションの密度を高めることができる場所を目指します。都市部から離れた静かな環境なので、情報を遮断し集中しやすいのも特長です。
さらに、定期利用する組合員による月々の固定費負担と、期間利用者による任意料金制(企画予算に応じて協議決定)の組み合わせにより、従来では負担の大きかった施設使用料を抑えて、作品への資金繰りを支援します。
予約先着順とするため、審査制では受かりづらかった経歴の浅いビギナー・アマチュアでも気軽に使えます。
「表現の自由と基本的人権を尊重し、不公平のない創作環境の維持」のために活動します。
1時間から3ヵ月までの連続使用、24時間の滞在可能(大きい音出しは9時から18時まで)。各部屋はそれぞれの用途に対応しつつも自由度があり、使い方はあなた次第です!
※「芸術準備室ハイセン」利用方法については、公式サイト(https://haisen8100.tumblr.com/)をご確認ください。

 

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